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全蠍(ぜんかつ)


 サソリは、日本にはもともと生息していない動物なのに、とても有名です。ブラックバスやカミツキガメのように、日本で生き始めたら怖いと思います。東京でクマゼミが鳴くようになったと聞きました。日本に強力な台風が来るのも温暖化の影響との意見もあります。万一、これから日本にマラリアが入ってきたら、診断して適切な治療ができる医師は、海外協力などで経験のあるほんのひとにぎりしかいないなどと怖い話を聞きました。

 私が初めてサソリを食べたのは、十年前に北京の中医学院に研修に行ったときに、校内の学生食堂で出されたのが初めてです。塩味の効いた、炒ったものでした。冷えによって関節が痛む病気の予防と治療に良いと説明がありました。

 もともと二十年前に西安で研修していたときに、サソリを意識するようになりました。別にベットに忍び込んでいるというわけではありません。道行く人に、漢方でいう口眼■斜(こうがんかしゃ)=顔面神経麻痺の患者さんが多いのに気が付きました。担当教官に質問すると、気温がマイナス二十度近くまでになるので、個人の防衛力が弱くなったときに邪気が侵入するのだといわれました。

 日本でなにげなく使う言葉に「風邪」があります。もともと漢方の言葉で、風のように変化が激しい邪気のことです。これには気温の変化など外から来るものと体質の偏りなど内側が原因のものがあります。外からのは、日本でいう風邪に近い概念ですが、内側からのは少しなじみがない概念です。主に五臓六腑の肝に関係して、怒ったときや血圧が高くなったときに頭が揺れてめまいが起きます。また、高熱で震えたり、極度に体力が低下して中風のように震えたり、皮膚が乾燥して痒いのも、みな風に吹かれたときに似ています。この内風を鎮めるのがサソリです。

 顔面麻痺にはサソリを含んだ牽正散(けんせいさん)が使われます。中国医療では鍼治療が必須と思います。

全蠍(ぜんかつ)トクササソリ科キョクトウサソリを食塩水に入れて殺し乾燥したもの。ムカデやカイコなどと合わせて使われる。

■→口+咼



烏梅(うばい)


 私の親戚にはがんになる人が多く、先日、このコラムを楽しみにしていてくれた叔父が肺がんで亡くなりました。お清めの席で次のような話が出ました。叔父の兄弟四人は全員物故したのに、叔母の兄弟姉妹は昭和六年を筆頭に七人全員元気なのは、箕郷に住んで梅を毎日食べているからだろう、とのことでした。

 たしかに、梅は暑い夏でもおにぎりの中に入れれば防腐の働きを発揮し、万一悪いものを食べても解毒や下痢止めの効果もあります。中国では慢性の下痢に、固腸丸(こちょうがん)という処方に使われています。

 また、糖尿病にともなう口の乾きや胸やおなかの張って詰まるような不快感をとってくれます。もっと知られて良いだろうと思われる薬膳に酸梅湯(さんめいたん)があります。山■子(さんざし)烏梅を主成分にしたシロップで、好みで薄めて飲むと夏ばて防止から胃腸虚弱・口臭予防などに効果が期待できます。今、流行しているクエン酸の元ですから、余計な甘味が無くダイエットにもつながるでしょう。

 ウメの語源は、中国語の梅(メイ)から来ているという説が有力ですが、私は烏梅(ウーメイ)から来たのではないかと思っています。奈良時代に、花や実を楽しむ前に薬として中国から持ち込まれたのですから。

 さらに、中国では「肉芽の過剰形成」にも効果が期待されています。最近の研究によると梅や杏や桃や枇杷の種の核に含まれているアミグダリンという成分が、がんの進行を抑えるという発表もあります。塩梅(あんばい)良く漬けた梅干を焼酎のお湯割りに入れていただくのは、一日の疲れをとってくれる至福の時です。

烏梅(うばい)バラ科ウメのまだ青いうちに収穫して、木や藁(わら)で薫蒸(くんじょう)したもの。黒いので烏(からす)の字を冠している。

■→木+査



亀板(きばん)


 いつか日本で人気が出るだろうと思っている中国薬膳のひとつに、亀ゼリーがあります。一言で中国といっても、広大な地域を持つ中国ですから、東北の黒龍江省から西北の青海省や北京・上海といった大都市の他に、西南の少数民族地域もあります。香港に近いこの地域で人気があるのが現地で亀苓膏と呼ばれている亀ゼリーです。

 山の日が当たる場所を陽、日が当たらない場所を陰と呼ぶように、人体にも陽と陰があります。陽は体を暖める力で、陰は体を冷ます力です。日本では、陽は暖める力があること、陰は暖める力が足りないことと捉えていますが、本場中国では違うのです。中国では陰陽二元論で、陽が足りなくなって体が冷えるとき吉林人参鹿茸(鹿の幼角)などで暖めます。陰が足りなくなって体がほてるときは、今人気の黒豆やこの亀板を使って、体を冷ます陰の力を補うのです。

 理解しにくいと思いますので、別の角度から説明します。陰陽はもとは一体のものです。人体にもともと備わっている陰陽のバランスは、ちょうど船が転覆しにくいように、右に傾いても左に傾いてもまっすぐに戻るような「復元力」のことなのです。これがいくつかの原因によって戻りにくくなると傾いたままになりますから、前に進もうとしても曲がっていってしまうのです。それが漢方でいう体質のゆがみです。

 西安で研修を受けているとき、ある境界型糖尿病の患者さんが寝汗と夕方の骨を蒸されるようなほてり、そして足の裏の違和感に困って来院しました。現代医学の病院でいくら症状を訴えても異常なしとされていました。舌の色が紅く苔がはがれているので、大補陰丸を提案しました。一ヵ月後、患者さんは満足そうな笑顔で来院したのはいうまでもありません。

亀板(きばん)イシガメ科クサガメの腹甲。寝汗・めまいの他、驚きやすい・体がだるい・夜中に足がけいれんする・焦燥感・早漏などに効果がある。



露蜂房(ろほうぼう)


 中国の漢方医学界では、中国建国以前から活躍している経験が豊富で治療効果の高い名医を、老中医(ろうちゅうい)と呼んでいます。建国以降は、さまざまな流派の老中医から指導を受けて、全国共通の教科書を作って、漢方医の標準化を目指しました。

 今は、老中医のほとんどが高齢のため実際の指導は受けられないのが実情です。北京の関幼波先生は肝臓を専門とする老中医として大変有名で実績をあげられている一方、コンピューターを活用して漢方の診断・処方システムを作り上げて後進のために活躍していました。

 以前、先生の講義を受けさせていただいたことがあります。そのときに露蜂房が処方の中に入っていました。患者さんは肝硬変で舌の色は暗い紅で、舌の裏側には黒い点がありました。先生は、露蜂房は末期になってから使うのでなく、このように血の循環の悪い肝疾患の初期から肝硬変の進行を遅くする効果を期待して使いなさいと教えてくれました。確かに、教科書には「解毒療瘡・散腫止痛」とありますが、肝硬変とはありません。先生にうかがうと、これは肝と腎と胃に作用がある。使ってみて効果がみとめられたら、経過を観察しながらデータをまとめる。それによって教科書を書き直せば、さらに患者さんのためになるとおっしゃいました。

 そのとき、教科書に書かれていることが、今後も最高のものであるわけではなく、現場から教科書を変えていくくらいの気持ちが必要なんだということを教えてもらいました。集団予防接種によってB型肝炎が爆発的に増えたという説もあります。その当時は集団予防接種が正しいと信じられていましたが、今ではとんでもないことだったことがわかりました。スティーブン・ホーキンス博士が言うように、変わらないものはないということが変わらない真実なんだと思いました。

露蜂房(ろほうぼう)ススメバチ科キホシアシナガバツチ その他の近縁昆虫のつくる巣。皮膚化膿症・ルイレキ・関節痛・患部の変形・腫張に効果が期待できる。



銀杏(ギンキョウ)


 イチョウは、植物のシーラカンスといっても良いほどの昔の姿を保っています。しかも雌雄異株という珍しい植物です。ラテン名をカタカナ読みするとギンゴーで、イチョウそのものの漢字が見当たりません。イチョウという音は、中国の宋の時代にイチョウの葉を鴨の掌にたとえて「鴨脚」と書いて「イャーチャオ」と発音したのをそのままもらったという説に説得力があります。

 薬剤師の国家試験は春にあります。私事ですが、先輩からイチョウの葉が黄色くなり始めたら明けても暮れても試験勉強に打ち込まなければ、合格はおぼつかないと釘を刺された記憶があります。公園のイチョウ並木が黄色くなると、毎年その頃を思い出します。また、日本酒のつまみにギンナンを炒って独特な臭いとともに食べるのも、日本の秋の夜長の楽しみ方のようです。

 痰が多く、息苦しく、咳が出るときに、中国では「鴨掌散(おうしょうさん)」という処方を使います。舌が紅く苔が黄色く痰も黄色い場合には、より熱をとる黄■(シソ科コガネバナ)の入った「白果定喘湯(びゃっかていぜんとう)」を使います。

 黄色いオリモノが続いて困る場合に、蓮の実と煎じて「易黄湯(いおうとう)」という処方もあります。いずれも、収斂の効果があるので、風邪の初期や粘った痰の時には邪気を内側に閉じ込めるので使いません。

 以前、東京の有名な漢方を専門にしている病院に見学にいったときのことです。調剤室の「白果」の引き出しに、白い硬い内種皮に包まれたままの状態のものがあり、そのまま患者さんに渡しているというので驚きました。正確には「白果仁」として白い硬い内種皮を取り除いて乾燥させて煎じます。

銀杏(ぎんきょう)イチョウ科イチョウの成熟種子。ヨーロッパでイチョウの生葉を脳の血流量を保持する薬としているが、今後の研究が待たれる。

■→草冠+今



閑話休題


 先日、帯津良一先生のツアーで内モンゴルを旅してきました。帯津先生は川越の帯津三敬病院の名誉院長の他、池袋で帯津三敬塾クリニックも開かれています。先生は以前、内モンゴルからある研修医を受け入れました。彼が帰国後、遊びに来いと言うので行ってみたら大草原の魅力にとりつかれて、毎年一人で行くようになったそうです。

 帯津先生は講演の中で、見渡す限りの大草原に佇んでいると先に逝った人たちと話しが出来てエネルギーをもらえる、というような話しを繰り返ししました。それを聞いた患者さんたちが、ぜひ連れて行けということになり、一年おきに患者さんを連れて行く運びになったのだそうです。

 今回はロシア国境まで二百キロの最北の空港「ハイラル」から南西方向の空港「シリンホト」までの千三百キロを二日で走破する強行軍でした。一般車両としてバスが二台の他、救護用のジープ型車両など三台の車列が、草原の一本道を爆走しました。

 日本側は帯津先生を含めて五十人。ほとんどががんの患者さんです。病気を持っていない人でもねをあげそうな行程を、さまざまな術後や抗がん剤による不調を抱えながらの患者さんたちは、帯津先生が全身から発する気と優しい笑顔を希望の光として、乗り越えていきました。

 大草原の地平線に真っ赤な夕日が沈みます。案内人は、今晩泊まる場所まであと五百キロです、と言います。ゆっくりと東の空から闇が訪れます。車内の仲間はほとんどが目をつぶってバスの振動に身を任せています。ときどき急ブレーキがかかります。昼間は羊の群れがいましたが、夜は馬の群れが道にいました。ここで死ぬわけに行かない、まだまだやり残したことがある。対向車のトラックとすれ違うたびにそう思いました。

 帯津先生がおっしゃっている「われわれは百五十億年かけていまここに生かされている。この地球上でのわずかな時間で魂にエネルギー補給して、帰りの百五十億年を帰っていく」その意味がわかりかけた旅でした。



茶葉(ちゃよう)


 ミリオンセラーの「粗食のすすめ」の著者の幕内秀夫さんが、お話の中で次のようなことを話された記憶があります。「お茶の葉っぱの色は何色ですか?」「茶碗の中のお茶の色は何色ですか?」聞かれてとっさに「緑色」と答えると「茶は茶色でしょう?」と畳み込まれました。

 夏は麦茶が身体を冷ましてくれます。そば茶も香ばしくて胃腸の通りをよくしてくれます。庶民が口にするお茶はもともと茶色なので茶と呼ばれていたのでしょう。鎌倉時代には武士や僧侶の眠気覚ましだった緑茶が、室町時代から町人の嗜好品として、緑色の茶を飲むようになって、緑茶ができたといわれています。幕内さんは、緑茶は嗜好品だから何杯もがぶがぶ飲むものではない。普段はほうじ茶か番茶がイイと勧めています。スポーツ選手ではないのにスポーツドリンクを飲んだり、牛の赤ちゃんではないのに牛乳を水代わりに飲むのは、思い込まされているからだと話されていました。

ヨーロッパにハーブティーがあり、南アメリカにはガラナやマテがあり、中国にウーロン茶があるように、世界各国にお湯に木の葉を入れてその汁を飲む習慣があったようです。語源から考えると、中国の「チャー」がインドに伝わって「チャイ」、イギリスに伝わって「ティー」となったと言われています。

ここでいう茶は、漢方では、熱性の下痢のときに使ったり、熱射病で頭が痛いときに使う他、熱性の頭痛・めまい・目の充血川■茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)という処方で使います。そこでも、かならず熱して少量を飲むように注意されています。冷やして飲むと身体に水のよどみを作り、たくさん飲みすぎると不眠・動悸・めまい・耳鳴り・目のかすみを生じるとあります。

茶葉(ちゃよう)ツバキ科チャの若葉。アイスコーヒーというのは日本が作ったと聞きます。冷たい緑茶も少量にとどめるべきと考えます。

■→草冠+弓



芦薈(ろかい)


 日本に滞在している中国人の中には、大きな志しを持って活躍している人も少なくありません。西安出身の劉大器さんはそのうちの一人です。日本で薬膳の普及や中国伝統医学の紹介に活躍し「薬膳(やくぜん)」「死諌之医(しかんのい)」「漢方―日本人の誤解を解く」を出版しています。

 「漢方―日本人の誤解を解く」の中の一節『「センナ茶」の衝撃』の中に次のようなくだりがあります。それまで健康そのものだった女性が、部屋の掃除をしたり食事をするだけで異常に疲れて汗をかくという相談で、はるばる西安まで診察を受けに行きました。もちろん日本の病院での検査では異常なしと診断を受けています。漢方の診察の結果、中国では劇薬なのに日本では簡単に手に入るセンナ茶の常用がその原因だと気が付きます。

 私は、劉先生に2年近く手をとって中国医学の基礎を教えてもらいました。その中で、先生は、口を酸っぱくして、日本でセンナや大黄などの強い下剤が漫然と使われていることに対して、警告の言葉を発していました。「自然のものだから副作用がなくて安心して飲める」「即効性はないけれど長い間飲める」という観念は誤解だと・・。

 日本の病院で処方される「アローゼン」「プルゼニド」センナから作られています。

 芦薈は日本ではアロエといって手放しで下剤として扱われています。しかし、先生によると、体質に合っていれば問題ないのですが、体質に合わない漢方薬を長期にわたって服用した場合、わずかなゆがみが次第に健康を損ねてしまうのです。

 アロエ舌の色が紅でイライラ怒りっぽく血圧が高く頭が張りめまいがするような人の便秘に勧められます。表面だけのやけどのときに貼ってもよいとされています。

芦薈(ろかい)ユリ科アロエの同属植物から得た液汁。小児の寄生虫にも中国では使われている。胃腸が冷えている人や妊婦には使ってはいけない。



西瓜(せいか)


 先日、夏風邪を引いて辛い思いをしました。じっとりと汗をかくのに、少しでも風が来ると冷える感じがして、体がだるく喉も痛くて困りました。患者さんの辛さがわからない医療者にはなりたくないので、身体の不調をしっかり記憶にとどめました。

 夏風邪の第一選択は「■香正気散(かっこうしょうきさん)」です。勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)という名前で輸入されています。夏バテの第一選択は「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」です。

 この清暑益気湯ですが、中国の漢方の医薬大学の教科書には3種類の原典が紹介されていて、それぞれの薬の組み合わせもかなり違っています。「医学六要(いがくりくよう)」「脾胃論(ひいろん)」「温熱経緯(おんねつけいい)」ですが、はじめの二つは補中益気湯(ほちゅうえっきとう)の発展した処方と考えられます。ですから、乱暴な言い方をすれば、補中益気湯黄連解毒湯(おうれんげどくとう)でも併せれば代用が効くと思われます。

 ところが最後の本の内容を見ると、人参ではなくて西洋人参が使われています。西洋人参は身体を温めないウコギ科のニンジンです。そればかりか、西瓜皮も処方の中に含まれています。これでは代用が効きません。

 この本の基になった温病学(うんびょうがく)とは、人間が栄養不足で病気になるだけでなく、栄養過多と運動不足でも病気になるといいます。さらに個人の体質で病気になるという考えにとどまらずウイルスのような目に見えないものによっても病気が引き起こされるという、公衆衛生的な視点も持っています。

 三十年前の西安の街では、西瓜の種の殻を器用に吐き出しながら歩く姿が風物詩でした。日本ではゴミとして石油をかけて燃やしてしまいますが、それより自然農法家・福岡正信翁のように野山に播(ま)ければいいなと思っています。

西瓜(せいか)ウリ科スイカの果肉。熱中症などの口の乾き・イライラ・焦燥・尿量減少のほか、二日酔いによる同じ症状にも効果がある。

■→草冠+霍



緑豆


 先日、中国の内モンゴルから来日中の中医師(中国の漢方医)が遊びに来ました。彼は日本で使われている処方を見て「古典的な処方がほとんどですね」と言いました。「そうなんです。遣唐使の時代に教えていただいた処方を大切にするあまり、そこから発展を止めてしまっているのです。平安時代と現代では、言葉や衣服ばかりか、食生活・運動量・冷暖房にはじまって食事の内容まで違います。当然、身体も変わっているのだから薬も変わらなければならないと思います。ところが、現場では薬は変わらないで、人間が薬に合わせているようにも感じられることが多くてがっかりするケースが多いのです」私の言葉に彼はうなずいてくれました。

 昔は栄養不足で病気になりました。ショウガナツメで身体を温めてやると元気になりました。今は栄養過多で病気になります。身体に使い切れない栄養がよどんでしまっています。それは次第に熱を帯びるようになります。メタボリック症候群の患者さんの舌の苔はたいてい黄色くてネバネバしています。舌の先が紅いことも多いです。

 緑豆は冷やす働きがあって、夏の暑い盛りに食べると身体の内側の熱を冷ましてくれます。喉の渇きを取り除き尿の出を良くするので、中国の夏には無くてはならないものです。緑豆から作る春雨サラダもダイエットにもニキビにも効果があります。

 また解毒の作用もあるので、附子(トリカブト)などの中毒のときに使います。もちろん、お酒の飲みすぎで毒が抜けないときにも勧められます。

 ここのところ、豆ブームと聞いています。日本にもたくさんの豆が食べられてきました。日本の風土に適した豆の食べ方を伝えたいものです。

緑豆(りょくず)マメ科ブンドウマメの成熟種子。化膿性の皮膚炎にも解毒の作用で効果があり、特に皮に清熱解毒の作用が強い。



地龍


 ミミズは土を食べて、そこに含まれている有機物や微生物を消化して、粒状の糞として排泄します。空気が入って土壌が軟らかくなり糞がすばらしい肥料となり有益なバクテリアをふやすなど、植物にとってとても役に立つ動物とされています。日本でもミミズの養殖がもてはやされた時期がありましたが、中国でも一時は大騒ぎになった記憶があります。

 日本で、もともと有名なのは、解熱剤として煎じて服用することが知られています。筆者の経験でも、確かに現代医学の消炎鎮痛解熱剤にない不思議な発汗作用を実感しています。

 中国漢方では、高熱が出たときに解熱薬として使うばかりか、煩躁(はんそう)といって熱性の意識障害やけいれんにも使われます。また、経絡(けいらく)の流れを良くして、リウマチによる関節部の強い痛みに、小活絡丹(しょうかつらくたん)に含まれたり、脳卒中の後遺症の半身麻痺を早期のうちに防ぐ、補陽還五湯(ほようかんごとう)に含まれて、無くてはならない薬です。

 特に筆者が注目しているのは、慢性に経過した呼吸器疾患においてです。直接息切れ・咳に効果のある薬剤治療を試みてもうまくいかないケースで、これを併せることによって症状の緩和がみられ、患者さんの生活の質が向上する事例をすくなからずみています。地龍は、肺の血の巡りを良くするとされています。

 宮崎医科大学名誉教授の美原恒先生の発表によると欧米産の赤ミミズから血栓溶解酵が確認されています。今後の研究が待たれます。

 気功の世界では、全身をミミズのようにくねらせる禅密功(ぜんみつこう)や、ミミズのように自分の中の男性性と女性性を探る気功も興味を引きます。

地龍(じりゅう)フトミミズ科の内容物を取り除き、開いて乾燥したもの。冷やす働きが強いので胃腸を冷やさないように注意が必要である。



けん実


 「子供しかるな我来た道じゃ、年寄り笑うな我行く道じゃ」という言葉があるそうです。子供は、からだの小さな大人ではなくて、経験の少ない未熟なものだから、頭ごなしにしかってもできるようにはならない。して見せて、耳で聞かせて、させて褒めれば、子供は育つといわれます。自分にも戒めとしてこころに留めようと思います。

 父親から「ドットって、点のことかい?」と聞かれて、「そうだよ」と答えるときに、自分の顔が嘲笑しているように歪んでしまって、失礼なことをしたと後悔しています。年寄りは、たくさんの人生の出来事を経験として身に付けてきています。それを、新しい知識が無くて役に立たないと一笑に付すのは、未熟者のすることだと思います。

 けん実は、夜尿症や尿失禁に効果があるとされています。以前、二千例以上の子供の夜尿について調査をする機会に恵まれました。長男・次男・長女・次女の順で多いというデータがあります。親が初心者だと子供も緊張するのでしょう。「また明日、失敗していたら怒られるだろうな」と思いながら不安の中で寝れば、尿が余計作られて朝までもたなくて失敗してしまうのでしょう。そこをしかっても、子供に備わっている治る力を台無しにするだけです。

 だれでも、年を取れば、あちこち痛みます。女性は出たいと思ってから出てしまうまでが一瞬です。男性は出終わったと思ってもそのあとしみ出します。「お互い様。私も最近同じだよ」と言いながら始末すれば、場がなごみます。相手の非をとがめず、互いの悲しみをいつくしむ気持ちが菩薩の慈悲心とうかがったことがあります。最近の日本での、人を殺める事件の多さになんとかしなければと思います。

 けん実は、慢性の軟便・下痢や女性のオリモノにも効果があります。

けん実(けんじつ)スイレン科オニバスの成熟種子。蓮の実も軟便の他に不眠・動悸にも効果があり、けん実は遺精・帯下にも効果がある。



覆盆子


 中国映画で、張芸謀(チャンイーモー)の名前を不動のものにした映画「老井」。彼はこの作品で、主演男優と監督をこなしています。今から20年前の映画ですが、ギラギラしたエネルギーが伝わってきます。この作品のワンシーンに、初めての夜を過ごした翌朝、婿入りした主人公が平たいお鍋のようなものを外の便所に持って行きます。それが「盆子(ペンズ)」です。

 張監督がそのシーンに込めた意味は、それぞれの解釈に任せますが、そこで出てくる日本でいうところのしびん(盆子)を伏せたまま(覆)にする薬草が、この覆盆子です。そういうと、だれにでも効きそうに感じてしまうかも知れませんが、そうとは限りません。

 むかしは、薬草による効果もいくつかの症状を解消することに注目されていました。覆盆子尿失禁のほか、今でいうEDや早漏・男性不妊にも効果が期待され、目のかすみにも使われます。しかしそれでは民間療法の域を脱していません。

 薬草を組み合わせて効果を引き出すためには、症状を解消するだけでなく、その人のもともとの体質や病気による体質のゆがみ全体をとらえるように発達したのが、本当の漢方なのです。体質が違えば、同じ症状でも違う処方を使わなければ効果は期待できないのです。

 八味地黄丸という処方が、夜間頻尿に効果があるということで、体質に関係なくノコギリヤシと同じように、頻繁に処方されるようになりました。しかし、のぼせ・口の乾き・いらいら・口内炎・どうき、人によっては血圧の上昇など、漢方でいう陽気が盛んになってしまう副作用の事例も耳にします。のぼせやすい患者さんの場合、中国では五子衍宗丸(ごしえんそうがん)などを使います。日本では八仙丸(はっせんがん)で代用します。

覆盆子(ふくぼんし)バラ科ゴショイチゴの完熟直前の集合果を干したもの。韓国ではクマイチゴを代用する。薬酒にしても良い。



酸棗仁


 郊外で深夜営業をするお店が増えていますが、ライトが当たる田んぼでは稲の出来に大きく影響があるそうです。人間も太古の昔、種としてのヒトになるきっかけが火の使用だったと言われますが、かがり火を焚いて夜が明るくなりました。しかし、ここ30年、明らかに就寝時間が遅くなっています。以前は11時は深夜だったのに、今は2時になってやっと寝る社会人が増えています。

 光の刺激によって神経の興奮がもたらされますから、夕食後は光のトーンを下げましょう。さらに、夕食の時間を早くして量も軽くしましょう。満腹で寝るからおなかが苦しくて眠りが浅く、翌日のリズムが遅れていきます。もっと大事なことは、朝日を浴びながらの散歩です。

 漢方では、夜になると眠くなるのは、その人に宿っている神が心舎(寝床)に入ろうとするからだと考えています。ちょうど定期的に天の岩戸に隠れるようなイメージです。それが順調に行かないので眠れなかったり、途中で目が覚めたり、眠りが浅かったり、早く目が覚めたり、夢が多かったりすると考えるのです。

 では、なにが原因なのでしょうか。まず、舌の引き締まり方が足りない場合、神の手を引いて案内する「気」の力が足りないと考えて、帰脾湯を勧めます。舌の色が紅く小さい場合、神が休む寝床の布団が薄いという「血」の不足が考えられます。酸棗仁湯を勧めます。これらは、気の使いすぎや焦燥による体質のゆがみが原因です。

 最近多いケースが、舌に厚い苔がついている場合、神が寝床に行こうとするする道に沼ができて渡れないと考えて、竹■温胆湯を勧めます。

 寝るのは死の予行演習と誰かが言っていました。一日を生き切って目を閉じたいものです。

酸棗仁 クロウメモドキ科サネブトナツメの成熟果実。不眠の他に、不安・動悸・焦燥感・健忘・多夢の他、寝汗にも効果がある。

■→草冠に如



牡蛎


 日曜朝に敷島公園で気功を始めて13年経ちました。晴れの日も雨の日も、ステキな松に囲まれて大地に立って気功をしていると、全身の細胞が気持ちよさで満たされます。仲間たちと円陣を組んで気をほぐしていくと、たがいのいのちのパワーを高める「気の場」が生み出されます。気功は、思ったより簡単で、お金もかからず、健康保持・病気予防から病気快復にも勧められる健康法です。

 気の場といえば、私が個人的に大好きな場所があります。それは、日光の東照宮の西にある大猷院です。仁王門をくぐり石段を登って二天門をくぐり右に曲がって右を振り返ります。そこからは、石段の下の景色が見えます。右に御水舎、左に竜光院が見えるそこに立つと、私の肉体の寿命が終わった後に魂が肉体を離れてここを通りそうな気がするのです。その未来は自力にしがみつくことなく、阿弥陀様のおはからいに全て任せた心安らかな気持ちにやっとさせてもらった悦びに満たされている感じがするのです。

 ところで、その仁王門や二天門には、髪の毛を逆立てて目をむいてにらんでいる仁王様たちが立っています。怒りをむき出しにした姿です。牡蛎はちょっとしたことでも驚きやすく、いつもびくびくしたりドキドキしたり、落ち着かない人に効果をあらわします。不眠や夢が多いとき・緊張すると汗をかきやすかったり手足がふるえたりする場合にも使われます。日本では柴胡加龍骨牡蛎湯(さいこかりゅこつぼれいとう)が有名ですが、適応症が高血圧・頭痛などに限定されていますが、本来はもっと幅広く使われてもよい薬物だと思います。現代医学的にはカルシウムなのかもしれませんが、漢方ではカルシウムが含まれている海草・小魚・牛乳などとは作用を分けて考えています。

仁王様に怒られても、開き直れるくらいの図太さが欲しいと思う筆者です。

イタボガキ科マガキなどの貝殻。竜骨(大型哺乳類の化石)や酸棗仁(サネブトナツメの種)などと合わせて不眠や不安感に用いられる。



黄精


 昔話をします。中国の名医、華陀(かだ)が、旅を続けていました。ある山で一人の少女が力の強そうな男たちに追われていました。少女は息切れも見せずに走っているのに、男たちは疲れきって息を整えていました。華陀が聞いてみると、地主の言いなりにならない小間使いの娘が、山に逃げ込んだのだが、見つからない。しばらく出てこないので、きっと飢えて死んだのだろうと思ったら、村人が山で見かけたというので探しに来た。ところが、以前のか弱い少女からは想像もつかない力で走り去ったので、地主になんと説明したらとがめられないか困っていたというのです。

 華陀は不思議に思い、山でその少女に身分をあかし、少女にいきさつを聞きました。少女が言うには、「山に逃げ込んでからおなかが空いたので、小さな花をつける百合の根を食べていた。それは、黄色くて丸いので、黄鶏(ひよこ)と呼んでいた」というのです。少女が華陀をつれてその花のところへいき、根を掘り上げると、丸い根が出てきました。

 華陀がいろいろな病人に試してみると、胃と肺と腎に効果があることがわかりました。ふつう、食欲が無く・食べる量も少ない場合、舌の色は淡く引き締まり方が弱かったり、舌に厚い苔がついていることが多いのですが、まれに、舌の色が濃くて小さく苔が剥がれ落ちていることがあります。そのときは、山芋を食べさせても食欲が出て体力がつくのですが、便秘しやすくなるので困っていました。これは、食欲を出して体力をつけるばかりでなく、便を軟らかくしてくれるので助かりました。

 さらに、痰が少なくかすれるような咳を治す力や、頭の空虚感・足腰のだるさを治すちからなどの肺や腎にも効果があります。いずれも、舌は紅くて小さくて乾いているのが特徴です。精力をつけるからか、いつのまにか、同じホワンジーという発音の黄精と呼ばれるようになりました。

黄精(おうせい)ユリ科カギクルマバナルコユリの根茎。松尾芭蕉が、足の三里に灸せぬもの・黄精を食べぬものとは、旅をするなと言ったとか・・。



石斛


 一時、法改正があってから、運転中に携帯電話の使用する人が激減しました。ところが最近、通話だけでなくメールをしている運転手さんも見かけるようになりました。「メール一文字、事故一生」という標語は、うまいものだと思います。

 メールも問題ですが、新聞やマンガ本をハンドルに立てかけて読んでいる運転手さんもいます。私も時には、おにぎりや菓子パンをかじりながら運転をしなくてはならないときもあります。カップ麺をすすりながら運転をしている人を見て、目を疑った経験もあります。いろいろ便利になっても、反って問題が生じるケースをよく見ます。

 あわてて食事をすることを繰り返したり、焦る気持ちを繰り返していると、その熱が胃の陰を消耗して、舌の苔がはがれて舌の色は真っ赤になり舌そのものも小さくなることがあります。中国医学でいう「胃陰不足」という状態です。胃から酸っぱい液があがって焼けるようなしみるような痛みを感じることもあります。焦げ臭い口臭も体質判断の根拠になります。

 現代医学でいう、萎縮性胃炎や逆流性食道炎があてはまる場合が多いと考えられます。自律神経の交感神経の亢進と考えれば、長期にわたる緊張の繰り返しによるものとも考えられます。

 石斛は、このような症状の緩和に、効果を持つ薬草です。日本ではなじみがありませんが、患者さんは多いと思います。私が石斛を知ったのは、網膜色素変性症の医学交流で北京の朱利国医師から、腎陰虚体質の視力減退石斛夜光丸が効果があると教えてもらったのが、最初です。紅い舌の人で、足の裏がほてる場合に適応です。

石斛(せっこく)ラン科セッコク属の植物の茎。雲南省安徽省で採れる、霍石斛が高価だが、胃だけでなく肺の乾きにも効果が期待できる。



沙参


 慢性の咳で悩んでいる患者さんは、一般に思われているより多いというのが現場の印象です。そのほとんどの患者さんが現代医学的な治療として、気管支拡張剤と去痰剤の組み合わせを受けています。それでうまくいかない場合、より強力な気管支拡張剤強力な副腎皮質ホルモン剤や強力な抗生剤の吸入などを投与されることもあります。

 ところが、それでもうまく効果が出ない場合に、患者さんはとても苦しい思いをします。なにしろ、一日くらい食べ物を摂らなくても生きていけますが、5分でも呼吸が順調でなければ、ベッドの上で溺れるようなものですから、苦しさと不安は経験した人でないとわからないといいます。

 中国漢方でいう沙参は、日本でいう浜防風のことです。季節の変わり目に多い、少量の粘りけのある痰がなかなか切れない、乾いた咳に効果があります。鼻の奥や喉に乾きがある場合、桑の葉やアンズの種の仁や百合の根を合わせて煎じて飲んで、苦しかった咳が驚くほど楽になるケースを何度も見ています。この組み合わせは、中国に桑杏湯(そうきょうとう)という名前の処方になっています。

 さらに、慢性化した場合、痰に血が混ざったり微熱が続くケースもあります。日本には麦門冬湯(ばくもんどうとう)という処方が適応とされていますが、私は含まれている薬草から考えると実際の効果はかなり狭いものと思います。中国に沙参麦門冬湯(しゃじんばくもんどうとう)という名前の処方があり、似ている名前ですが大変優れた効果を見ています。

 肺気腫の診断を受けて五年の六十二歳の女性の患者さんがおいでになりました。主治医の先生から、もうこれから悪くなることはあっても良くなることはないと宣告されていました。藁をもすがるつもりで漢方に活路を求めておいでになって半年になります。いまでは、片道五時間の旅行にも出掛けられるようになって、大変喜んでくれています。

セリ科ハマボウフウの外皮を去った根。北沙参ともいう。萎縮性胃炎などの乾き(胃陰不足)にも効果がある。日本でいう沙参は中国では南沙参といいキキョウ科ツリガネニンジンである。



桑椹


 庭や荒地に植えてもいない桑が生えてくることがあります。新芽は天ぷらにしても食べられます。葉は熱性の風邪の咳を鎮める働きがありますが、最近は糖尿病や高脂血症の治療と予防にも効果が期待されています。枝は神経痛や関節炎、リウマチに用いられます。桑の根は乾燥性の咳を鎮めるほか、利尿の効果もあります。ひとつの植物にいろいろな作用が秘められています。

 桑の実桑椹と呼ばれて、中国ではブルーベリーやプラムなどと同じようにジャムのように使われます。漢方でいう陰血という身体の組織を潤す成分を増やしてくれます。この陰血不足による頭のふらつき・集中力の低下・不眠・目のかすみ・耳鳴り・若白髪、さらに口渇・便秘に勧められます。

 漢方では、陰と陽のバランスを大切に考えています。陽は身体を暖めたり活動する力ですが、陰とはなんでしょうか?陰は陽が活動するためのエネルギーです。陽は目に見える表にあり、注目されます。一方、陰は目に見えない裏にあり、ないがしろにされがちです。体の奥に力を蓄えることを忘れて、使い続けると陰は枯れ果ててしまいます。

 私たちの毎日の生活はどうでしょうか?朝、やっと起き出して、一日、時間に追われるように走り回り、夜遅くになってやっと寝る生活です。まるで、ミヒャエル・エンデさんが書いたモモに出てくる大人たち。時間泥棒に時間をとられてしまった大人たちのようではないでしょうか?

 朝日を浴びて、草の匂いに包まれて、鳥のさえずりや川のせせらぎに耳を傾け、ゆっくりとおなかの底から息を吸って歩きませんか?気が付かない「お陰様で生かせてもらっている」という感謝の気持ちになれた時に、陰が蓄えられると思います。

クワ科カラグワの成熟集合果。漢方でいう心・肝・腎を補うので、ほてりをともなう焦燥感・疲労感・無力感に勧められます。



白芍(びゃくしゃく)


 「■約(しゃくやく)」という、今ではあまり使われない言葉があります。広辞苑によると、すがたのしなやかにやさしいさま。たおやか、とあります。一説によると、芍薬の語源とも言われています。この時期、牡丹と美しさを競っていますが、ご存知のように、牡丹は木で、芍薬は宿根草です。中国原産ですが日本に紹介されて、「貌佳草(かおよぐさ)」とも呼ばれていたようです。

 日本では、芍薬はひとつの薬草とされシャクヤクとして保険適応になっています。中国では、陶弘景以降、赤芍と白芍にわけて使うようになりました。赤芍は芍薬の根を皮付きのまま干したもので、白芍はコルク皮をはいで湯通しして干したものです。日本の法律では、赤芍を薬とみなしていません。白芍だけを薬としてあつかっています

 中国では赤芍は血の熱を取り血の巡りを良くするので、血府逐●湯などに配合して、子宮筋腫・子宮内膜症などに応用されています。白芍は血を養い陰を守り気の流れを整えるので、逍遙散芍薬甘草湯などに配合して、憂鬱感・いらいらや腹痛などに応用されています。

 風邪薬として有名な葛根湯に含まれている芍薬も白芍です。冷えの邪気が外から体の表面に侵入すると、気の流れを邪魔して抵抗エネルギーの営陰(えいいん)が消耗させます。白芍はこの営陰が漏れ出ないように守り補ってくれるのです。

 「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」といいますが、日本の漢方の専門家は腹診といって、おなかの筋肉の緊張やしこりを診ました。へそが立ったような痩せ型で・気が立ちやすい・癇癪(かんしゃく)を起こしやすい女性に芍薬は欠かせません。私は女性に限らず中性化した■約とした男性にも効果をみています。

キンポウゲ科シャクヤクの根。同じ血を養う当帰が温めて血を巡らせるのに対して、シャクヤク熱をとって気を開いて血を巡らせる。

■→女だれ+卓
●→病だれ+於


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