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不妊

 愛知県に吉村医院という産院があります。そこでは、出産をひかえた妊婦が、薪(まき)割りから、雑巾がけなど共同生活の場が展開されているそうです。最近の高級ホテル並みの豪華な病室で、家族と一緒にフランス料理に舌づつみを打つ出産とは、まったく違う光景が映し出されています。

 妊娠も同じことで、すぐそこの八百屋に行くにも自家用車で行き、荷物を持って歩くことも無く、四つんばいになっての雑巾がけをしなくなってから、お腹の血の巡りが悪くなって、妊娠しにくいのだという説さえあります。

 現代医学では、不妊の原因が女性にある場合、それに対して、外からホルモン剤などを使って操作して行くのが第一段階の治療で、最近は高度医療として人工授精や体外受精を選択してゆく話しも聞きます。

 漢方では、腎精が足りない・気の流れが滞っている・血(けつ)が足りない、などといって、体質を整える薬を選んでいきます。不妊という現象を、人間が開発した技術で乗り越えてゆく道が現代医学なら、漢方では、患者さんが妊娠する準備が整っていない体質のゆがみをただしてゆく道だと思います。

 基礎体温で、高温期にスッキリ体温が上昇せずに舌の引き締まり方が足りない場合には、腎陽が足りないとして「双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)」を高温期に服用することを勧めます。この薬は、体外受精などのときに、卵の数が足りないとかグレードが低い場合にも効果を発揮します。体外受精は、精神的にも肉体的にも経済的にも大きな負担のある治療法といわれています。なるべくチャレンジの回数を減らせるように、漢方の角度から準備を整えることは患者さんの負担を軽くする大切なステップとも言えるでしょう。

 また、ストレスの解消もなかなか難しい社会になっています。収入のいい男性と結婚するために親の言うように育って、失敗を回避し、回りの都合に自分の意見を曲げてしまい、観念的に物事をとらえる女性が増えているように思います。そういう患者さんに限って、書店に並ぶ不妊の素人向けの本にある、漢方薬の紹介の記事にこだわって、「何年飲んでも効果が無い」と道をふさいでしまいます。近所の評判の良い漢方の専門家に相談することを勧めます。

キーワードは、雑巾がけです。

便秘

 「毎日、スッキリするのがこんなに気持ちがいいとは、思いもしませんでした。」なかなか、自分のお腹の具合に合った便秘薬にめぐり合わなかったNさんが言いました。26歳のキャリアウーマンです。仕事がおもしろくがんばっているうちに、夜遅くまで仕事をするようになり、いつしか「夕食」が夕方でなく夜遅く食べる「夜食」になってしまっていました。

 「3日出なくてもそんなに苦しくない代わりに、下腹がポッコリ出て、いつもお腹を隠すようなデザインの服を選ぶようになってしまいました。便秘が治ってから、お腹がすっきりして、胃のあたりがいつもモヤモヤしていたのもすっかり治りました。あごや首筋・額にできていた吹き出物も無くなりました。」

 食べる・寝る・排泄する、これらは、動物としての基本的な生活習慣です。これらが順調に行って初めて健康が保たれます。夜八時を回ったら、しっかりした食事は摂らずに、みそ汁やお粥程度にしましょう。寝るときに胃が空っぽになっているように調節しましょう。夜は11時前には寝るようにしましょう。朝は食事の一時間前には起きて、水分を摂ってから、散歩をしてください。

 食べ物は、日本人が昔から食べていた、ご飯とみそ汁と漬物を基本にしましょう。そこに、一日一回はワカメ・ヒジキ・コンブといった海藻類やダイコン・ニンジン・ゴボウといった根菜類を忘れずに摂りましょう。

 その上で、まだ便秘があれば漢方薬を考えましょう。初めからセンナや大黄などの刺激の強いものを選ばずに、何首烏(かしゅう)や麻子仁(ましにん)や決明子(けつめいし)などで調節するようにしたいものです。また、ストレス要素の強い便秘には、潤腸湯(じゅんちょうとう)などもお勧めできます。

 また、冷えが強かったり、舌や唇の赤みが足りない場合は、漢方でいう「血」を増やす処方の四物湯(しもつとう)なども、頼り癖のつかない漢方薬です。

 さらに、疲れやすく、いきむと汗が出たり息切れが起きる、舌の引き締まり方の足りない場合は、漢方でいう「気」を助ける補中益気湯(ほちゅうえっきとう)もお勧めです。

 便秘は、美容ばかりか大腸がんの原因のひとつにも数えられています。
 キーワードは、海藻類です。


胃腸虚弱

 今年の夏は長い梅雨の後にやってきたので、例年より胃腸を壊している人が多いようです。これは自然界の異変が自然の一部である人体にはっきりと影響が出ることを示しています。長い雨で畑が水浸しになりました。曇りの日が続いて太陽の光が足りなくて、作物の生長が遅かったです。

 中国漢方では、陰陽や五臓の考え方から人体も自然の一部と考えます。胃腸の働きを「脾」といって、自然界を五つの要素(木・火・土・金・水)に分けて考えると、「脾」は「土」に相当して、適度に日が当たり乾いている必要があります。

 ところが、現代の生活はその自然とまったく逆の生活になってしまっています。長い雨に相当するのが、冷たい甘い飲み物です。特に最近は熱中症に対する警戒の情報に偏り、水を少しずつ飲むのが良いとされています。しかし、漢方の立場からすると、水分摂取は、食後に一杯の温かい麦茶を飲む程度が良いと考えています。普通の都市生活をする人は、それ以外の時はむやみに水分を摂らずに胃を干すようにしないと、かえって水肥りで体力の無い身体になってしまいます。氷の浮いている飲み物やシャーベットやアイスクリームは、早朝二時間歩いた人が、木陰で昼寝の時に摂取するならかまいません。

 太陽の光が足りない状態に相当するのが、エアコンによる冷えです。現代医学でも、体温が安定していないと消化酵素が働けないといわれています。口から食べ物が入っても栄養素が吸収できなければ、体力はどんどん落ちていきます。疲れやすかったり・治りにくい皮膚病になったり・ゼンソクやアレルギー性鼻炎を治せない体質になります。極端に言えば、二型の糖尿病や高脂血症やがんなどが克服できないのは、胃腸が必要なものを吸収できず、不必要なものを排泄できない弱さが根本にあるといっても過言ではないでしょう。

 日本の夏の胃腸虚弱に対する基本処方は「香砂六君子湯(こうさりっくんしとう)」です。舌がむくんでいるようにゆるんで、場合によっては舌の縁に歯の跡が波打っています。表面に白い苔と呼ばれるヌルヌルがついています。食欲不振からだるさまで対応できます。まれに、下痢が続くと舌の表面が乾く場合があります。そのときは「参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)」を勧めます。日本には星火健脾散(せいかけんひさん)という名前で輸入されています。


アトピー

 「先生、漢方薬を飲む前に撮った写真を見たら、思ったより良くなっているので、続けていきたいと思います。友達からも良くなったと言われるし・・」

Mさんは、24歳の男性です。高校生になるまでは、たいしたことがなかったアトピーも、何とかしようとすればするほど悪化してしまい、学校にも行きにくくなってしまいました。考え方も後ろ向きになって「どうせ何をしても同じだから」と引きこもるようになりました。

 わずかな信頼できる人の一人から、漢方薬を勧められて飲むようになりました。あまり美味しくない粉の薬を一ヶ月飲むと、いくらか良いようだけれど治らない。「治らないんですか?」と言うMさんに「長く炎症を起こしてきたから、そんな短い期間では治りきりにはなりませんよ。でも、大きな波と小さな波を繰り返しながらだんだん良くなっていくと思いますよ。希望を持って続けましょう。初めて来た時を百とすると今八十くらいには落ち着いてきたでしょう?」と説明しました。

 漢方からみた、アトピー性皮膚炎の根本治療に必要な注意点は、免疫の安定です。食事と排便と睡眠と情緒の安定から免疫の安定は得られます。食事は規則正しい時間に食べましょう。よく噛んで楽しい会話をしながら食べましょう。東京オリンピック以前に食べられていたものを食べましょう。(ご飯とみそ汁と漬物が基本です。)排便は決まった時間に気持ちよく出るように余裕を持った時間に起きて、朝ごはん前に水分をとって散歩が出来ると良いです。夜は十一時前には寝ましょう。楽しいことをやって、アトピーがあるから何も出来ないというマイナスの考え方から、今日を喜びと感謝の日に変えましょう。

 そして、漢方薬を始めたからといって、これまで皮膚科のお医者さんから出されてきた薬を急にやめないでください。症状が良くなれば皮膚科の先生が診て、薬をどんどん弱い方に変えてくれます。自己判断をしないようにしましょう。

 ところが、炎症を抑えるには、私の考えでは、日本の漢方薬にはこれまで決定打の薬がありませんでした。最近、開発された「涼血清営顆粒(りょうけつせいえいかりゅう)」は、ベースとして肌が乾き舌の苔が厚くない時にお勧めできるお薬です。ジクジクがあり舌の苔が黄色やベトツキがある時は、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」を勧めます。

 キーワードは、免疫の安定です。


水虫

 「先生!先生は治るはずがないといっていたけど、うちのばあちゃんの爪水虫、治ったよ」赤城のふもとに暮らすAさんが、やってきて言いました。考えてみると、もう、一年半前に、土槿皮酊(ドキンピチンキ)を渡したときに、「目薬と決して間違えないように」と「かかととか指の間は続けていれば治るはずだけど、爪に入ったのは常識的に考えて治るとは思えない」と言った記憶はあります。しかし、実際に爪白癬が治ったのを見ると、目の前が広がる気がしました。

 爪に水虫が入って、皮膚科の専門医から内服薬を出されても、足なら一年・手なら半年、続けているうちに、肝臓機能に問題が出て中止する患者さんがいます。漢方薬を試して有意義なケースもあるとわかりました。

 「先生!草津温泉の足湯に一ヶ月入ると、水虫が治るっていいますよね。お酢に漬けて悪くする人もいるので、サリチル酸の入っている華陀膏(かだこう)を刷り込んでいたら、硬く厚くなって困っていたかかとが治ってくれました」セールスの仕事で一日靴を履き続けるTさんが言いました。中国の華陀膏、おそるべし・・。

 「先生!化学的な方法より物理的な方法のほうが、安全ですよ。中国の棒灸の熱で真菌を乾かして指の間の水虫から、爪の水虫も治っていますよ。ただし、煙いのが難点だけどね」いろいろな人が教えてくれます。

 「先生!狭い部屋で、インフルエンザにかかった人がクシャミをしても、インフルエンザにかかる人とかからない人がいますよね。同じ浴室の足拭きマットを使っても、水虫が感染する人と感染しない人がいるでしょう?身体の中に余計な水のよどみがある人は、皮膚の防衛力が低下してしまうから、水虫が感染しやすいんですよ。余計な水のよどみを発生させないためには、欧米食ではなく日本の伝統食を食べるのが良いんです。足をいつも清潔に乾かして、炒ったハトムギを煎じて飲む。夏は熱い麦茶を飲むのが一番ですよ。」

 患者さんからいろいろ教えてもらえます。どちらが先生かわかりません。
 キーワードは、清潔です。


めまい

 「めまいは気持ち悪いですよ。めまい癖がはじまってから、いつめまいが来るか心配で気分も沈みがちです。」60歳代の女性です。息子さんも結婚して、やれやれこれから孫の面倒を見る生活かなと思った頃に、めまいが始まりました。「めまいがしているのかどうか、自分の身体の様子をみると、なんだかめまいが始まるような気さえします」「外から見て何の変化もしないので、家族から理解されなくて辛くなります」いろいろな訴えがあります。

 なかなかうまく治らないめまいの場合、漢方もひとつの選択肢として期待できる部分だと思います。漢方でめまいの多くは水のよどみを考えますので、冷たい水の飲みすぎや動物の脂を含んだ食べ物を減らしてみるだけで良くなるケースも経験しています。

 中国では、患者さんの体質を実と虚に分けます。実は、気血水のよどみ、流れがスムーズでない場合に、激しい症状をともなって起きるのが特徴です。気の流れが悪い場合(現代医学的には自律神経失調症にあてはまるかと思いますが)にはいくつか傾向があります。ストレスがらまりで舌が紅い場合、抑肝散(よくかんさん)を使います。同じ心理的な要素が強くても舌の苔が白い場合には釣藤散(ちょうとうさん)を使います。

 イライラしやすく、頭が張るような場合には柴胡加龍骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を使います。血の流れが悪いのは(現代医学的には脳血流障害に当たるかと思いますが)舌の色が暗い紅だったり舌に暗いシミがあったり舌の裏側の血管が怒張していたりします。頭痛を伴うのが特徴です。冠元顆粒をお勧めします。

 水のよどみが原因の場合、舌に苔が付きます。白い苔の場合、日本でよく使われるのは、初めの抑肝散に胃腸の薬草を加えた抑肝散加半夏陳皮(ようかんさんかはんげちんぴ)ですが、吐き気が強い場合は中国では半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)が第一選択です。黄色い苔でイライラが強い場合は竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)を、同じ黄色い苔の場合でも吐き気が強ければ茵■五苓散(いんちんごれいさん)を勧めます。

 虚の場合、上半身がユラユラ揺れて普段から食欲が少ない場合は、脾の気虚として補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を勧めます。下半身に力が無く地面が揺れるような気がしたり頭の空虚感がある場合は、腎の精が不足しているとして参馬補腎丸(じんばひじんがん)を勧めます。

 めまいは、脳や耳の原因も考えられますので、まずは専門医に受診してから、漢方を考えるので良いかと思います。

 キーワードは、冷たい水の飲みすぎです。

■→草冠に陳


顔面神経麻痺

 「旦那の顔が片方ダラーンって下がっちゃったんだけど、なんとかしてくれない?」更年期障害でかかっている患者さんから電話がありました。見てみるとハンサムな主人の顔がゆがんでしまっています。ホームドクターからは、顔面神経麻痺と診断されて、内服薬も出ていますが、内容が気休めのようだから心配になったというのです。

 中国では、まず鍼灸科に回されます。鍼灸治療無しにはこの病気の治療は考えられません。鍼灸は、体表にある反応点であるツボを刺激することによって、「気」の流れを整えて病気を予防・治療する中国伝統の治療法です。まだまだ、現代医学では解明されていない不思議な効果があります。針治療は交通事故のむち打ち症などにも驚くような効果があります。

 漢方薬の方面では、大きく三つのパターンに分けて考えます。まず第一に、身体が疲れているところに、急に冷えた風や雨に当たってなる場合です。患者さんの舌の色は赤みが薄く引き締まり方が足りなくて、場合によっては舌の縁に歯の跡が波打ってついています。身体がだるく疲れやすいです。麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)が勧められます。中国では煎じ薬に蜈蚣(ごしょう)といって、干したオオムカデを加えます。

 つぎは、中耳炎・耳下腺炎、ヘルペスなどのウイルス感染で熱が出て痛みが出る場合です。舌の色は赤みが強く舌の苔は黄色くて厚い場合が多いです。日本では、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を合わせて使いますが、中国では、先ほどのムカデのほかに、白橿蚕(びゃっきょうさん)といってカイコが白くなって死んだものもせんじ薬に入れると更に効果があるとされています。

 最後に、治療の時期を逸して(中国では3ヶ月を越して)しまった場合に、麻痺や痛みや違和感が残ります。舌は暗い紫になります。日本では疎経活血湯(そけいかっけつとう)川◆茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)を組み合わせますが、中国では、さきほどの、ムカデとカイコの他に全蝎(ぜんかつ)といってサソリの干したものをせんじ薬に入れます。

 始めの患者さんには、針治療に合わせて、麻黄附子細辛湯を飲んでいただきました。治療が早かったからか、1ヶ月ほどで心配した顔のゆがみはおさまり、違和感もなくなりました交通事故のむち打ち症も。

 キーワードは、早期治療です。

◆→草冠+弓 (日本語の標準パッチに入っていない字です。)


不眠

 「俺の決済で、1億とか金が動いちゃうんだよ。いつも、気が抜けなくて、それで、うつになっちゃったんかなあ・・」同級生のF君がやってきて、つぶやきました。大きな会社に入って、出世がしらと思われていた彼の病気は他人事ではありません。「いろんな睡眠薬を試してみたけど、眠れないんだ・・」

 舌の色は淡い紅で大きさは引き締まり方が足りません。話しの状態から精神疲労によるものと判断して「眠らせる薬じゃないから時間はかかるけど眠れる力をつける薬だから」と帰脾湯(きひとう)を勧めました。顔を合わせるたびに「眠れない。全然、効果が出ないよ」とつぶやいていた彼が、3か月目を迎える頃に、「なんだかすこし眠れるようになった」と不思議そうに言いました。

 漢方では、に分けて考えます。実を取り除いてから虚を補います。実には、気と水の流れの滞りの原因があります。気の流れが悪いと舌が硬く見えます。肩がこったり頭が痛くなりイライラしやすい人が多いです。よく使われる処方は抑肝散(よくかんさん)です。水のよどみがある場合には、舌の苔が厚く付きます。口臭も気になるので、舌の表面をこする人も多いようです。体が重だるく気分も憂うつです。竹■温胆湯(ちくじょうんたんとう)をまず使うのをお勧めします。

 虚の場合には、気と血と陰の不足が見られます。気の不足の場合は舌の色が淡く引き締まり方が弱いです。心配性でいつも考え事をして後悔か取り越し苦労をして疲れています。帰脾湯(きひとう)を勧めます。血の不足の場合、舌の色は淡い紅で、表面のヌルヌルがはがれています。「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」を勧めます。陰の不足の場合は舌が濃い赤で小さくひからびたようになります。気持ちが焦りやすく怖い夢を見て寝汗をかく場合が多いです。天王補心丹(てんおうほしんたん)が勧められます。

 病気には必ず原因が隠れています。生活習慣や感情のクセなどがあります。そこを見極めて改善する必要があると思います。昼間、頭をカラにして農作業などで身体を動かし成果を認めていきましょう。夜は横になっているだけでも身体が休まるので、電気を消して目をつぶって横になっていましょう。余計なことを考えるようなら、タイマーをつけてラジオを聴くのもひとつの方法です。
 キーワードは、昼間の行動です。

■→竹冠+如 (日本語の標準パッチに入っていない字です。)


不安感

 この時期は、生活環境が変わる時期です。いままで、一日中お母さんのふところで、安心していたのに、保育園や幼稚園の知らない子供たちの中に放り込まれることになります。個人差があって、お母さんの手を振りほどいて、いろいろな遊戯に飛びついていく子供もいます。そうかと思うと、一週間たっても泣き叫んでお母さんから離れない子供もいます。どちらが良いということはなく、飛び出していく子は、迷子になりやすいという考え方もあるでしょうし、離れない子は、将来、親を大切にしてくれる可能性が高いとも考えられます。

 小学校の組み替えから、高校進学などに伴う適応不安は、程度の差はありますが、頻繁にみられるもので、むしろ自然なことに近いと思います。会社において、仕事が忙しいことよりも、人間関係の難しさの方が辛いという話しをよく聞きます。PTAの役員や地域の自治会などの役員の改選など、身の回りにはいろいろな人間関係なしには過ごして行けない部分があります。

 出来ないことを出来るようにがんばりすぎたり、生活の一部分なのに全部のように感じてしまったり、いろいろな問題点があると思います。不安感そのものは、これらの問題に対する警戒警報として機能している、と考える方法もあると思われます。生きにくい感じがあれば、まず、自分のペースにもどって、自分らしく生きるなかで、エネルギーを蓄えましょう。その上で、なにが問題点だったのか、整理していくと良いと思います。その場合、気の合う心療内科や「こころの相談室」などのカウンセラーさんが手助けをしてくれると思います。

 中国漢方では、五臓六腑の肝・心・脾・腎などに係わりがあると考えています。特に春は肝の時期で「木の枝に風が当たるとざわめく」ように不安感が出ます。イライラや左の肩こりが強ければ「抑肝散(よくかんさん)」が第一選択です。普段から先のことをあれこれ心配しすぎると、自分の心を配りすぎて心がエネルギーを無くしてしまいます。そういう場合には食欲も低下するので「帰脾湯(きひとう)」が第一選択です。眠りが浅く夢をたくさん見る場合もあります。舌の色が淡く引き締まり方が弱い場合が多いです。毎日毎日忙しく何かに追われるように生活していると、慢性の疲労から腎を傷付けます。ちょっとした物音がしても物陰に人がいても、必要以上にビックリしやすい人は腎虚です。「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」が第一選択です。

 いずれにしても、一人で抱え込まないで、信頼できる友人にグチを聞いてもらったり、安心できる医療専門家に相談することをお勧めします。


花粉症

 Kさんは27歳の女性です。エアコンのかび臭い風を感じるととたんに何度もくしゃみが出て鼻水が止まらなくなります。くしゃみが始まるとティッシュを鼻の中に詰めなければ仕事になりません。

花粉症は全国に推定二千二百万人の患者さんがいるとされています。Kさんのようなハウスダストにも反応する人を含めると倍の患者さんがいるといっても過言ではないでしょう。現代医学のアレルギー性鼻炎に関する治療法の中心は、消炎剤か抗アレルギー剤かステロイド剤といえるでしょう。薬で症状を抑えることに治療の目的があると言ってよいでしょう。習慣性や眠気の副作用があります。

 中国医学では、症状だけを抑えるのではなく、体質のゆがみがあるから、同じ空気を吸ってもあるひとはくしゃみをし、あるひとはなんともない。その体質を改善する必要があると考えているのです。

 舌の引き締まり方が弱い場合には、体質改善が必要です。二つのケースが考えられます。一つは「気」(免疫力)が弱いケースです。風邪を引きやすく気温の変化に敏感です。運動不足の人が多く、少し歩いても汗をかいて冷えます。玉屏風散(ぎょくへいふうさん)を勧めます。日本には衛益顆粒という名前で輸入されています。もう一つは「痰湿」(水はけの悪い体質)のケースです。舌の苔が厚く付いて口臭がする場合があるので、歯ブラシなどでこする人もいます。乳製品や動物の脂の摂り過ぎの人が多いです。「六君子湯(りっくんしとう)」などを勧めます。

 症状を軽減する方法として、舌の湿り気が強く色が薄い場合肺に冷えが入っていることがあります。夏にクーラーで冷やしすぎです。「小青龍湯(しょうせいりゅうとう)」などを勧めます。腰や頭の冷えや痛みを感じる場合があります。鍛錬と休息が足りません。「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」を勧めます。舌の色が紅くて、目の充血や鼻づまり・のぼせがある場合、肝胆に熱がこもっている場合があります。忙しすぎてイライラしやすくなります。「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」を勧めます。

 症状がきびしい場合には、症状を抑える処方を使います。鼻づまりには「エンビ」、目や喉の痛みには「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」を使います。

 キーワードは、少食と運動です。