過去の掲載文です。どうぞ!ご覧下さい

疲労感とめまいに悩んでいます。

Q:
疲労感とめまいに悩んでいます。MRIや耳のレントゲン、更に別の病院で脳血流から三半規管のレントゲンまで調べましたが、異常無しとのことで、神経内科に行くように言われました。そちらでも、自律神経のバランスが狂っていて、長く掛かると言われました。症状が治る漢方薬はありますか。(大泉町M雄)



A:昨年2月に長野に出張に行ってから、急に頭と身体がフラフラして立っていられなくなったとのこと。現在はそれに加えて、身体の疲労感・不眠で、一日4回の内服薬を続けているが良くならない。4ヶ月鍼も試したが効果がなく、長期間薬を飲むのは副作用が心配とのお便りです。
2ヶ月前にめまいのご質問に答えてから、驚くほど多くの患者さんから問い合わせが殺到しました。それほど多くの患者さんが苦しんでいて、漢方薬に期待を掛けているということがわかって、身の引き締まる思いです。
結論から言うと,お仕事が忙しすぎるようですから、負荷を少し軽くしてもらって、自分の時間を取るようにしたらどうでしょう?忙しいさなかに、少し余裕が出来たら、あそこにも行ってみたい、あの本もじっくり読んでみたいなどという思いがあったと思います。そういうことを思い出してちょっとだけワクワクしながら手を出していくと、心の力が戻ってくると思います。リフレッシュする行動がとれるとご自分の中の回復力がついてきます。これは、予防にも効果がありますから、心がけると良いと思います。要は、自分の人生をエンジョイする姿勢のような気がします。
漢方では、舌の苔が厚ければ、「痰湿(たんしつ)」といって、水の滞りが原因として「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」を第一選択とします。よく、簡単な本にめまいにこれが良いと書いてあるので、何年も飲んでいたという人がいますが、それは、「病名漢方」といって、間違える事があります。漢方では「証」という漢方独自の体質の見方がありますから、それをおろそかにすると効果が出せない事が多いです。逆に、舌の色が赤みが強くて普通付いているヌルヌルが剥がれている場合は、「陰虚(いんきょ)」といって、「天王補心丹(てんおうほしんたん)」をお勧めします。こちらは、保険処方ではないので、「滋陰至宝湯(じいんしほうとう」を代用しても良いでしょう。近くに経験の豊富な評判の良い漢方の専門家がいると思いますから、良く相談してください。

Q;疲れをを取る漢方はあります?

Q;毎年、
夏になると息切れがして、動く元気がありません。喉が乾いて冷たいものを飲むと、食欲がなくなり,下痢をします。昼間は眠くて、夜になると寝るのがもったいなくつい夜更かしをしてしまいます。夜半から、時々目が醒めて眠りが浅い感じがします。市販の栄養ドリンクを飲むと一時的に動けますが、後がもっと疲れるようですが無いといられないので毎日のように飲んでいます。なにか、漢方で替わるようなものはありますか?(宮城 54歳 男性)



A;血圧もそんなに高くないし、コレステロールや中性脂肪も問題ではないから、死ぬのは冬ではなく夏だろうと言うお便りです。ここのところ、毎年温暖化の話が出ていますが、日本の国内だけの問題ではなさそうですね。日本全体の緯度が下がったみたいです。暑いから、クーラーを強く長くかけると、またそれが環境を歪める原因になっていることになります。人間がどこかで我慢するようにしないと、自然はある幅のうちは揺れのうちですが、取り返しのつかない状態になることも充分考えられます。
さて、
漢方では、よく陰陽のバランスと言います。日本漢方では陽体質がほてり陰体質が冷えといい、熱の量の多少を一元論で表現しています。中国の漢方では陽とは暖める力、陰とは冷ます力です。すなわち、二元論なのです。陽虚は暖める力が足りない冷え。陽実は炎症による病的な熱。陰虚は冷ます力が足りない虚弱体質に見られるのぼせ。陰実は冷たい風などによる病的な冷えです。あまり難しい話しをしても、理解しにくいと思いますが、理論的にとても違うという事だけは、知っておいてください。
さて、質問の件ですが、現代医学では、ビタミン剤や消化剤などを処方して必要に応じて入院させて回復を待ちます。
日本の漢方などで保険の効くものでは「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」などが使われるようです。中国の漢方では、「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」を勧めます。同じ名前の処方が「温熱経緯」という書物にありますが、熱射病のような急性症状に使います。「脾胃論」にも同じ名前の処方がありますが、下痢症状が長く舌の苔が厚い場合に使います。「医学六要」にあるこの処方は、現代人の疲労状態に近く、朝鮮ニンジンを減らして沙参を入れて喉の渇きを抑えて興奮を抑え、眠れるように黄連(おうれん)や龍眼肉(りゅうがんにく)・酸棗仁(さんそうにん)を加えます。下痢が酷いようなら焦朮を加えます。
いずれにしても、
クーラーと冷蔵庫から離れて、ゆっくり休んで命の養生(ようじょう)を心がけてください。緑豆(リョクトウ)のおかゆやハルサメ・西瓜は、主食にしても良いといわれています。
*組成;黄蓍12g 人参6g 麦門冬12g 白朮6g 当帰6g 五味子3g 陳皮3g 黄柏3g 炙甘草3g

おねしょがなかなか治らず困っています。

Q;
小学校2年生の娘のおねしょがなかなか治らず困っています。非常に眠りが深く声を掛けてもなかなか目を覚ましません。2年前に3ヶ月漢方薬を試しましたが効果がありませんでした。昨年は3ヶ月かかりつけの小児科で「トリプタノール」というお薬を処方されて飲ませましたが、全く変化がありませんでした。「のどが乾きやすいのと昼の頻尿」も気になります。なにか良いアドバイスがあったら教えてください。前橋市 F子



A:日常は非常に元気だが、学校から帰るとウトウト寝てしまう事もあり、30分程度の昼寝でももらしてしまう事がある。現在は一ヶ月に10日くらいだが、一週間も続くことがあると時間が解決してくれるとは思っても、心配でなにかできることはないかと、いうお便りです。
まず、小児科の方に掛かってますから、「尿崩症」のチェックは済んでいると思います。基本的には、ずっと途切れずにしてきた(一時性の)ものは、寝て1〜2時間で一晩に2〜3回しているものがだんだん明け方に移り、いつのまにか治ってしまうものです。おねしょをしなかった子が、ある日突然し出す場合(二次性)、下の子供に母親を取られたとか心理的な原因も考えられます。掛かり付けの小児科医に相談してください。
さて、ご質問のお嬢さんですが、学校では非常に活発に活動されているようですが、そこで疲れてしまって昼寝をしたり眠りが深くなってしまうのかとも思われます。
一つの方法として朝食後「加味逍遥散(かみしょうようさん)」の服用で、学校での過剰な緊張を取ってあげるのも良いかと思います。特にそのような様子が無ければ、逆に夕食後に「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」の服用で眠りを浅くする事も中国ではされています。(日本では、前者は更年期障害に、後者は咳にしか使っていませんが、薬とハサミは使いようです)ただ、総じて考えると以前飲まれた「六味丸(ろくみがん)」が第一選択になるようです。このお薬は「医食同源」の感覚で、朝一回でも続けて飲ませてあげると良いと思います。一生飲んでも心配の無い薬で、若さを保つ薬として勧められます。
胃腸が弱く、食が細い・食べても身体がしっかりしない等という「脾虚(ひきょ)」の場合は、「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」を勧めます。更に、しょっちゅう風邪を引いて治りにくかったりアレルギー・喘息・じんましんなどに悩まされている子供さんや大人にも「黄蓍建中湯(おうぎけんちゅうとう)」を、また、乾燥肌でかさかさのアトピーなどには「当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)」を勧めます。
また、中国では
お臍の指4本下に「関元(かんげん)」というツボがあって、そこを吸引する方法を家庭でしています。日本でも指導してあげると簡単に出来て、不思議な効果を見るケースがあります。
小さな子供さんは、梅雨が明けたら夜中に起こすのは止めて、紙オムツをしている子供さんも外して、
膀胱を一杯にする習慣・出た時に不快感で目覚める習慣をつける良いチャンスになると思います。夏は冷たい飲み物や果物が増えますから、午後3時以降は喉が乾けば暖かいものにしましょう。本人は劣等感を持ちやすいので、他の面で自信をつけるように、良い面を家族で充分認めて誉めてあげてください。


「滲出性中耳炎」繰り返すので悩んでいます。

Q;わたしの3歳の娘が、
「滲出性中耳炎」繰り返すので悩んでいます。ちょうど、幼稚園で風邪をもらう時期なのかもしれませんが、しょっちゅう、鼻かぜをひき、まだかめないので、鼻が詰まっている状態でくしゃみをすると、耳に来るようです。耳鼻科ではその都度抗生剤を出されるのですが、親としてはあまり飲ませたくありません。漢方で、体質改善は出来ますか?



A;あまり繰り返して、耳の聞こえが悪くなっても困るが、化学的なお薬を小さなうちから繰り返し飲ませるのも心配だと言うおたよりです。
小児の場合,現代医学では甘味の有る薬を用意していますが、漢方では「イチゴ味」などがないので心配します。ところがかえって自然の味なので(飲ませる人が「おいしいおいしい」などと演技してもらえれば)気に入って飲んでくれる事の方が多いものです。
さて、中国の漢方では、中耳炎に「蛇のヌケガラ」を粉にして耳の穴の中に吹き込むと治ると言われて来ています。しかし、私は「ハトムギ」で滲出性中耳炎が改善されたと思われる経験を、数例持っています。昔からいぼ取りなどに親しまれてきた「ハトムギ」ですが、全身のムクミ取りでダイエットにも勧められますし、膝関節に水がたまる人にも勧められます。更に胃腸虚弱からの繰り返す下痢や女性のおりものにもお勧めします。最近では,「排膿消腫」という作用から「夏枯草(かごそう)」と合わせて煎じて、最も安価で副作用の少ない抗がん剤として注目されています。
これを大人だと1日20gを目安に煎じますが、生のものだけだとマズイので半分程度は、炒った「炒苡仁」にすると飲みやすいです。更に効果を高める意味で、桔梗(ききょう)を加える事を勧めます。もともとは、止咳平喘薬(しがいへいぜんやく)の桔梗ですが、鼻詰まりを改善してくれる「排膿消腫」の作用も持っています。さらに、はとむぎの,「排膿消腫」の効果を、足や下腹ではなく、胸や鼻・耳といった身体の上部に引き上げる「引経薬(いんけいやく)」としての効果も期待できます。そして、便が少しでも固い傾向があれば「決明子(けつめいし)」を加えて、便の通りを良くする事によって、身体の上に有る熱の毒を下に導くという技を期待します。これも、軽く炒ったものは、香ばしくておいしいので子供は喜びます。必要に応じて「黄蓍(おうぎ)」など、免疫の安定に働きかける薬草を加える事もよいでしょう。
ただし、この病気に限らず、今の日本の慢性的な病気の多くは中国で言う「食積(しょくせき)」という病気に、関わりが多そうです。簡単に言えば、日本の風土に合わない食物の食べ過ぎと運動不足です。味噌握りをほおばり、茶色の「茶」を飲んで、野原で遊べればそれだけでずいぶん予防につながるような気がしているのは私一人でしょうか。

2年前から、めまいで困っています。

Q:
2年前から、
めまいで困っています。ちょうど、更年期にさしかかったところなので、同年代の友達も話してみると、皆めまいがあって困っているようです。私の場合、不安感も強いです。
何か良い漢方薬はありますか?(前橋 M子)



A:女性の場合、ホルモンバランスが急激に変化する時期は、さまざまな不快な症状に悩まされるようで、大変だと思います。(男性にも少なからず似た症状があると最近は認められるようになりました。)私のところにいらっしゃる70%は、M子さんのような人なので、知り合いのドクターから、「更年期外来みたいだね」と冗談を言われたくらいです。さて、一口でめまいと言っても、現代医学でも「脳血管」の障害から耳鼻科領域の「メニエール」までありますから、しかるべき科を訪れてください。婦人科で「ホルモン補充療法」なども効果を上げているようです。それでも、めまいというのは、繊細な部分なので、原因が特定できない・効果が見られない場合、漢方に期待が掛けられる事になります。
漢方では「眩暈(げんうん)」といって、目の前が暗くなり、頭が揺れる症状に当てはまると思います。「実証」のめまいでは「肝陽(かんよう)」と「痰湿(たんしつ)」が主な原因です。五行論で、肝は木に相当します。ストレスという風が木に当たると梢が揺れます。そのように、頭が揺れる・頭が張る・肩がこる・イライラ怒りっぽい、舌の色が赤みが強い。耳鳴りを伴う時は「キーン」という高い音です。脉が「弦(げん)」という、琴の弦のように張った状態の場合に、「肝陽上亢」として「天麻鈎藤飲(てんまこうとういん)」が第一選択です。日本にはないので「釣藤散(ちょうとうさん)」を代用します。煎じの場合、石決明(せきけつめい)といって、あわびの貝殻を砕いたものを合わせて煎じます。カルシウムの補充でしょうか?昔の人は身近なものを無駄なく使ったものと感心します。余談ですが、牡蠣のの貝殻は別の効果があり、草決明は植物で、似た効果があります。さて同じ「実証」でも「痰湿」は水の澱みが原因していると考えます。回転性のめまいであったり雲の上を歩くように足元がおぼつかない事もあります。特徴は、吐き気です。そして、舌に白い苔が厚くついている場合がほとんどです。これは、クヨクヨ考えすぎたり、生物や冷たい物の食べ過ぎ飲み過ぎで、「脾」の冷えによって、水はけが悪くなった状態なので、こすって取っても舌を傷つけるばかりでめまいや口臭が取れるわけではありません。脉は「滑(かつ)」といって、そろばんの玉を指先で転がすような感触があります。(中国漢方で脉というと、早さだけでなく指先に触れる28種類の感触で五臓六腑の状態をそれぞれ窺がうと言います。)「滑」の場合は「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」をお勧めします。その他に虚証では、息切れ・不眠などを伴えば「気血両虚」として「帰脾湯」を、低い耳鳴りや腰の無力感を伴えば「腎虚」として「耳鳴丸」などを勧めます。M子さんの場合、他に強いのぼせなどもないようですので、「逍遥散(しょうようさん)」と「釣藤散」を合わせて飲まれてみたらいかがでしょうか?

ヘルニアに良い漢方と方法を教えて下さい。

Q:20歳代から、ぎっくり腰を繰り返し、その都度治してきました。今年の1月に腰の痛みのほかに右足がしびれて重だるく自分の足で無いような感覚に襲われました。明け方痛くて目が醒めることもあり、午前中が特に良くありません。3月からは右腕が同じようにしびれて重だるくて苦しいのですが、こちらは夕方疲れると悪いようです。整形外科では「ヘルニア」と言われました。安静にして様子を見ましょうと言われましたが、良くならないので漢方をやってみようと思いますが、何か良い方法はありますか?(56才宮城県男性)




A:以前から,腰が弱いタイプで、車の運転をするお仕事がお忙しく、運動をする時間が無いとのこと、その中で大変な事になってしまいましたね。運転の時にアクセルやブレーキをうまく踏めないと言う事ですから、しっかり治さなければなりません。漢方全体から考えると、針灸が全体の7割を占めるのではないかと思われます。これまでも、なかなか痛みのコントロールが取れない患者さんがうまくいっている例を良く見ます。
マッサージや整体やカイロプラクティックなども効果を上げているようですが、患者さんからお話を伺うと治療技術に大きな差があるようですから、近所で評判の良いところへ掛かるのが良いと思います。
さて、漢方のほうですが、
腰の方に関しては「血」の流れが悪いのが原因しているようです。同じ姿勢をしているとだんだん悪くなり、それから動き始める時に強い痛みや痺れを感じます。しばらくしていると楽になる場合が多いですが、舌や唇の色が暗い赤だったり紫色をしていたり、舌の裏の血管が怒張している場合も診断根拠となります。「疎経活血湯」を基本処方とします。便秘があれば「通導散」を、冷えがあれば「真武湯」を加えます。通導散は便通を整えながら血行を良くしてくれる効果の高い処方です。真武湯はトリカブトの無毒化した「附子」が入っていて、直接痛みを取ります。私の経験では2〜3ヶ月で、良いところまで行ったら、次は右腕のほうと合わせて「大防風湯」を勧めます。この処方には気の流れを高める朝鮮ニンジンや血の質を高める当帰の他に、今流行りの杜仲の木の皮が入っています。こちらは、じっとしていると何とも無いが、2〜300m歩くと休みたくなるほど痛くなり2〜3分休むとまた何とも無かったように歩ける「脊柱間狭窄症」やそこまで行かなくても、疲れやすく夕方力が入らないようなときにもお勧めできます。特に下肢の冷えや浮腫みが酷い時に「麻杏意甘湯」を一時的に勧めますが、症状安定したり1ヶ月ほど使ったら、体質改善的な観点から「牛車腎気丸」を勧めます。
いずれにしましても、
針灸と併用してしっかり治してください。

健康に役立つ食べ物って?


Q:最近、テレビの昼や夜の番組で、
健康に役立つ食べ物について特集をしているのを良く見て参考にしています。漢方の方では、そういった健康に役立つ食べ物はありますか?



A:いわしのカンヅメがいいとなると、スーパーから消えて無くなると言われています。それだけ、マスコミの力は絶大です。しかし、毎日見ていると「じゃあ、なんでも良いんだね」と、言う話にもなりそうです。日本人はとかく流行に流されやすく、「アマチャヅル」もすたれれば誰も振り向きません。さらに、自分たちはまだまだ未知の部分で不足している栄養分があるのではないかと、いつも不安で探し回っています。
 もちろん、中国の漢方の中には、テレビ受けするような
「熊の手」「フカヒレ」などの「宮廷薬膳」もありますし、「粟のおかゆ」「緑豆の春雨サラダ」などの「庶民薬膳」と呼ばれるものもあります。ある漢方の医師は、マントウを食べるときに、黒ゴマクルミを擦ったものを蜂蜜で練り、味噌の代わりにマントウに付けて食べて、そのおかげで85才になっても髪も黒く仕事も出来ていると話を聞かせてもらいました。
 ところが、良いものでも,時間がいい加減であったり、量が極端であったりすれば、薬どころか
「毒」になってしまいます。日本人の生活が「夜更かしの朝寝坊」になってしまっています。「早寝早起き」の習慣をつけて、それに食事の時間を合わせる必要があると思います。
 結論としては、昔からその
土地で採れたものを食べるのが、その土地で暮らす人には合っていると思います。何千キロもはなれたところでしか取れない、特別な食品を取らないと命が維持できないようなら人類はとっくに絶滅しているでしょう。日本人が風土の違う中国の食べ物を常食するのは誤りがあります。ごはんとみそ汁と漬物と煮物が基本です。万一、牛乳を飲む場合は、「牛の赤ちゃん」に教えてもらって、暖めて良く噛んでからにしましょう。とにかく、その食べ物が出来るまでにどれだけの人に支えられてきたかを振り返りながら、その命をいただくように、一口50回以上噛むことは、とても体に良いことと思います。」

c型肝炎の進行を抑える漢方は?

Q:健康診断で、肝臓の検査をするように言われて、調べてみたら
c型肝炎にかかっていることが分かりました。先生の話によると、20年前に出産した時に、出血が多かったので処置した時に移ったんだろうと言う話です。担当の先生はむしろ漢方が良いだろうという事をおっしゃっています。肝硬変やがんに進行しないようにする漢方薬はありますか?
(板倉町 M枝)




A:ここのところ、新聞をにぎあわせている、肝炎の話とどこまで共通点があるかは分かりませんので、担当の先生とよく相談してください。その時代その時代で、出来る事には限界はありますが、そのことを承知した上で最良の医療を提案し患者さんの理解同意をうけて提供するという態度が、医療者側に求められていると思います。誰からもフィードバックが掛からない(批評を受けない)医療は暴走していきます。
とはいえ、過去の事は変えられないので、「なったものは仕方が無い」と腹をくくって、病気と二人三脚で無理せず楽しく一日一日を大切に生きていきましょう。(私も含めて、お互い残された時間はそう長くなさそうですから・・。)
さて、
肝疾患に効果があるといわれている処方に「小柴胡湯(しょうさいことう)」がありますが、私は大いに疑問があります。厚生省が認めている効能は「慢性肝炎における肝機能障害の改善」とありますが、それは現代医学のものさしであって、漢方のものさしで言っていません。水墨画を描く道具や技術を、油絵を描く道具や技術のものさしで表現するのは、無理があります。
そして、体力があって便秘していれば、大柴胡湯(だいさいことう)、小柴胡湯より体力が少し弱いから柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などという、直感に頼るような選薬で効果が上げられるとは思えません。
さらに、中国の漢方なら効果があるかもしれないと頭から信じ込むのも危険です。中国へ行って「片仔コウ(へんしこう)」という高い薬を買い込んで帰る人がいますが、ベテランの漢方医(老中医)はその薬を認めていません。漢方の薬草を使っていても漢方の理論に従っていないからです。また、観光客相手に、土を練って固めた贋物が横行しています。
大きく分けて、
「気」の滞りのある時期は、初期と言う認識で前出の小柴胡湯もお勧めできます。しかし、舌の上にヌルヌルした苔が出始めると「湿(しつ)」が絡んでいるとして、中期と言う認識で「因陳五苓散(いんちんごれいさん)」などが使えます。中期以降ですと、舌の苔がはがれて赤みの強い状態になります。「一貫煎(いっかんせん)」という日本にない煎じの処方が、基本処方になります。肝硬変の予防・治療に血の滞りを強力に防ぐ「丹参(たんじん)」を、煎じ薬に加えます。
腹水がたまってきたら「夏枯草(かごそう)」「ヨク苡仁(ヨクイニン)」などを加えます。最近の中国の研究ではシソ科の「半枝蓮(はんしれん)」アカネ科の「白花蛇舌草(びゃっかじゃぜつそう)」ラン科の「山慈磨iさんじこ)」などが、免疫系の安定に作用して、がんの進行ばかりでなく肝炎ウイルスによる炎症を抑える効果が確認され臨床の場で本処方に加えられているようです。

ボケを漢方で防げますか?

Q:55才の主婦です。父が70才を少し過ぎるころから、急にボケはじめて、会話が成り立たないと思ったら、あっという間に食べ物をこねるようになりました。叔母も一年くらいの間に、坂を転げ落ちるようにボケました。いつ自分がそうなるかと、ここのところとても不安です。漢方で防げる方法はありませんか?



A:実は、ちょうど一週間前に知り合いの精神科医と食事をしていてそんな話が出ました。「本で読んだんだけど、遠志(おんじ)って、本によるとボケ予防に良いってあるけど、どんな植物なの?他に、「加味温胆湯(かみうんたんとう)」とか「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」も効果がありそうだけど、井上さんの経験ではどうなの?」と言う事でした。
日本人の寿命が、70才に届かない時代はあまり問題にはならなかったんでしょうが、寿命が伸びれば伸びるほど「がん」や「老人性うつ」とか「脳梗塞の後遺症」などにさらされるのは、致し方ないのかもしれません。老人性痴呆症についても寿命の面もありますし、また別の角度から言えば「アルミなべ」も問題にされています。一概に恥ずかしいものとか迷惑をかけるとか考えずに、困っていたら互いに支え合うような関係が「グループホーム」などの場面で築き上げられつつあります。積極的にボランティアなどの形で関わっていけると、不必要な緊張もほぐれるかもしれません。
また、サプリメントという表現で「栄養補助食」がブームになっていますが、あまり誇大な効果をうたうようなら、反って用心した方が良さそうです。
さて、漢方で痴呆症と言う事ですが、いつもの話で申し訳ないのですが、「証(しょう)」を分けて考えたいと思います。まず、邪気実といって気や血の巡りを邪魔しているものがある場合です。脂ものの食べ過ぎや運動不足で、「湿(しつ)」が溜まると次第に「熱」を帯びてきます。舌の色が赤みが強く、表面に黄色味を帯びた「苔」がびっしりとついている場合、「温胆湯」の仲間からその人にあったものを選びます。中国で最近勧められているのが「牛黄清心丸(ごおうせいしんがん)」です。教科書的には脳梗塞の発作時に使う処方ですが、「湿」と「熱」を取り除き意識を明快にする作用があり、期待できます。もちろん、便秘は大敵で、本県出身で玉川学園で開業されている岡田研吉先生は、「王隠君方」という古典の中に記された特別の処方で、便秘を解消して意識障害を緩快させた症例を以前発表されていました。
一方で、「証」として、虚証では、意外に陰虚(いんきょ)の患者さんが多いようです。陰虚とは体液不足の状態です。水分を身体に蓄える力が足りない状態なので、水を飲んでも身体の潤いに出来ません。木の生えていない山に雨が降れば、山が崩れます。精神疲労によって身体や心に火が盛んになって焦っている状態です。心の木を育て水を蓄える森に育て上げるように、ゆったりした余裕の時間を持ちましょう。以前,藤岡の老人施設の患者さん全員の舌を拝見した事がありますが、舌の苔がはがれている人のほうが圧倒的に多かったのを、非常に印象的に覚えています。そう言う人は、きっといろいろ気を使いすぎてバランスを崩したのでしょう。日本の処方には「六味丸(ろくみがん)」位しか適応の処方は思いつきませんが、中国では「虎潜丸(こせんがん)」「一貫煎(いっかんせん)」「河車大造丸(かしゃだいぞうがん)」などがあります。
いずれにしましたも、
予防としては、食べ過ぎで「湿」を作らない。忙しすぎる生活で「陰」を傷つけない。運動不足で「血の滞り」を作らないことです。
尚,遠志は、
イトヒメハギの根で、「安神益智・豁痰開竅・散欝化痰」の効ありとして、竜眼肉(りゅうがんにく)と合わせて煎じると、効果が高まると言われて、お勧めしています。

「風の谷のナウシカ」と花粉症

あまりにも突拍子もない組み合わせに、驚いている人もいるかもしれませんが、この2002年の春の花粉の大攻勢を記憶に留めておくために、そして映えある中医研だより100号を記念してお伝えしようと思います。
「風の谷のナウシカ」は、言わずと知れた宮崎駿氏の一大抒情詩的アニメで、1984年映画化されました。そのなかで、巨大産業文明が滅んだ1000年後の社会が描かれているようです。自然を回復するために腐海という場所が仕組まれていてそこの粘菌から発せられる「瘴気(しょうき)」というガスを吸わないように、風向きによってマスクをつけなければ生きて行けないのです。
今年の2月はじめの、気象庁の予想では、花粉の飛散量は少なめとあったような気がします。が、2月の中旬から、いままで鼻炎のあった人は、より症状が酷く広くなり、これまで鼻炎のなかった人は、今まで鼻炎に苦しむ人を笑っていた自分を十分反省するだけの苦しみと不安を与えられました。鼻だけでなく目・喉の他、ゼンソク様の気管支炎・アトピー性皮膚炎も悪化しているようです。
ここで、私はあえて「花粉症」と書きましたが、現代医学的には「アレルギー性鼻炎」と呼ぶのが正しいようです。しかし、60才以上の人が、「すぎ鉄砲」で遊んでいたにもかかわらず、症状がでなかったことを考えると、若い人たちが、「マスクなどで身を守らないと自然の中で生きていけない」という点で、「花粉症」といったほうが、大きな流れを感じられると思って書きました。花粉症の「引き金」は花粉でしょうが、原因は人間の作り出した有毒物質と自律神経系の乱れが主ではないかという話は前号で述べたつもりです。
一方では、自然を征服する試みが進められています。花粉のほとんど出ない(品種改良?された)杉が植えられたりしているようです。一方では、人間と言う自然も征服する試みが進められています。消炎剤から抗アレルギー剤の内服、ステロイドの注射?レーザーで鼻の粘膜を焼き切る?テレビで勧められるお茶を飲み、車に乗る人も町を歩く人も皆マスクで顔を覆う。
その姿を見て、風の谷のナウシカを思い出しました。自然を破壊した人間が、自然からしっぺがえしを受けている姿です。人間が自然を征服しようと試みれば、予想をはるかに越えたところで自然から警告が発せられる気がします。野草ハイキングの橋本竹二郎先生は「植物はわれわれ動物のはるか、先輩だよ」とおっしゃいました。征服を試みるより反省を試みる方が長い目で見ると良いような気がします。
最後に、とっても矛盾する事を書かなければなりません。(この時期に咲くコブシ=辛夷のガクは煎じて飲むと鼻炎に効きます)鼻炎の症状を抑える漢方薬とこのアレルギー体質を改善する漢方薬は、全く違います。気を付けてください。中医研では、内蒙古の黄蓍(オウギ)湖南省平江県長寿鎮の白朮(びゃくじゅつ)黒龍江省の防風(ぼうふう)を使った、体質改善(免疫安定)に役立つ「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」を用意しています。免疫系のこれ以上の混乱を予防するために夏の間も続けて服用される事を勧めます。(所詮、植物を食べさせてもらわなければ、命を永らえない動物ですから、植物を煮出してその汁を飲むのも致し方ない事のような気がします。)子供たちに「高性能のマスクより、自然の中で遊べる身体」を残してあげたいと思うのは私だけでしょうか?